| 柳井: |
今回は「よそ者」から見た富山というテーマですので、県外や海外から来て、富山で活躍されている方々にお集まりいただきました。まず、富山に来た時の印象などお話いただけませんか。
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| 姜: |
私が釜山から富山に嫁いで来たのは昭和56年で、ちょうど豪雪の年でした。
最初、釜山の友達に「今度結婚して、富山に行くの」と言ったら「そんな山奥に嫁いでどうやって生活するの」と言われました。韓国では、富山というのはほとんど知られていないのです。
不安の中、雷鳥に乗って富山に来たのですが、金沢でほとんどの人が下車してしまうんですね。富山に着く頃は車内が閑散としていました。
いろいろ寂しいこともありましたが、春になると立山連峰の美しさが心を癒してくれました。
私は、富山の友達が欲しくて、自ら地元の婦人会に入ったんです。年輩の方が多かったんですが、みなさんに温かく迎えていただき、今では釜山に次ぐ、第2のふるさとだと思えるようになりました。 |
| 野田: |
私は徳島から、富山ガラス工芸センターに来たのですが、最初ガラスというものは相手にされなかったんですよ。富山の人は有名大学に入るのがよしという風潮があったらしく、職業学校というものはなかなか受け入れてもらえませんでした。
【山崎】私は新潟県出身なのですが、20年前富山駅で降りた時、夜ではありましたが真っ暗だった印象があります。新潟にいた頃はナンパストリートとか(笑)夜でも人が集まる楽しい場所やお店がたくさんありました。
でも、富山は海と山が近いので趣味のバイクを乗り回すのは良い環境でしたね。
私は旅行に行った時、必ずのぞいてみるのが市場なんです。それは市場が商業の原点だと思うからなんですが、富山にもそんな活気のある場所が欲しいですね。
そして交通機関がもっと発達すると、もっと住みよい地域になるのではないでしょうか。 |
| 和氣: |
私の生まれ育ったのは東京です。和氣という珍しい名前は、親の出身地である岡山のもので、そこもふるさとのようですし、ロンドンにも4年間在住したこともありいろんな地域を見てきました。
富山に来たのは、ある記事で利賀村の写真を見たことがきっかけでした。夏休みに実際に訪れてみて利賀の人の温かさに触れ、とても良い印象を受けたことがあります。それからご縁があり、2年後にこの国際会議場のオープニングスタッフに加えていただいたんです。
住んでみて思ったことは、やはり車がないと不便だということですね。車ばかりに乗っていて歩かないので太ってしまいました(笑)。 |
| 柳井: |
皆さんに富山の最初の印象を語っていただきましたが、それではこれが富山だと感じたエピソードをお話願えませんか。
私は富山の人と仲良くなりたい時、方言を使ったりします。「だやいね〜」なんていうと振り向いてくれたりするんですよ。 |
| 姜: |
私が初めて仲良くなった友達に「遊びに来てね」と言われた時、うれしくてキムチをおみやげにすぐ行ったんです。すると、ドアを開けた彼女は不思議そうな顔をしたんですね。日本の国民性なのかもしれませんが、この本音と建て前が富山にはあるんだ、と感じました。この見分け方に8年かかったんですよ(笑)。 |
| 野田: |
富山の人は最初の一歩をなかなか踏み出してくれませんね。しかし仲良くなると長くつきあいます。 |
| 和氣: |
お客様と話す時、“標準語”の私に合わせてくださっているのがわかります。そんな時、上司が方言で話すとほっとされて場がなごやかになるんですね。
それから、水がとてもおいしいということですね。最初、市役所に「富山の水道水は飲めますか」と聞いたことがあるんです。私の質問に職員の方に笑われてしまいました。こんなにおいしい水が水道から出て、自然水のスポットもたくさんあり、しかも無料というのはすごいですね。 |
| 柳井: |
私の大阪の友人も、富山の水道水がおいしいことにびっくりしていました。 |
| 山崎: |
私も誘われて「穴谷の水」をくみに行きました。ただでさえ良い水があるのに、遠くまで更に良い水を求めて行くのが富山の人なんですね。
富山は水や薬で健康を語ることができる場所です。教育県でもあります。しかも工業県でもあるのですから、もっと専門学校があっても良いのではないでしょうか。 |
| 柳井: |
ここで、会場にお越しの方々の声もお聞きしたいと思います。今までの話しの中で何かご意見がありますか。 |
| 市民: |
姜さんのおっしゃったご意見に納得しました。
私も本音と建て前に悩む場合があります。それを見分けることができる姜さんは、私たちより富山になじんでらっしゃるのではないでしょうか。 |
| 姜: |
今では、私の方から「遊びに来てね」と言って、もし本当に来たらどうしよう、と思うようになりました(笑)。でもこの間、近所の方が野菜を持ってきてくださったんですよ。それも、私の家が留守の時に玄関に置いてあったんです。温かな気持ちになりましたね。 |
| 柳井: |
京都にもそんな風習がありますよね。日本の文化独自なことなのでしょうか。 |
| 市民: |
食についてお尋ねしたいことがあります。
私が考えるに、食文化には素材と調理法の2種類あると思うのですが、富山についてはどう思われますか。 |
| 和氣: |
私の住んでいたイギリスでは、一般的に食事がまずいと言われていましたが、色んな工夫、幅もあるものです。富山ではびっくりするほどおいしい素材があるので、総合的な演出をもっと工夫したら、さらに魅力を増すのではないでしょうか。 |
| 柳井: |
価値資源として見た場合、良い食品はありますか。 |
| 山崎: |
昆布締めが良いですね。素材、調理法ともすばらしく、富山の人にとってはあたりまえのものなのでしょうが、宣伝の仕方で大化けする可能性があると思います。これをもっと自慢しましょうよ。 |
| 市民: |
富山の人は、あまりにも自慢をしたがりません。私はそれが悔しくて、飛行機や電車の中で大声で富山自慢するんですよ(笑)。 |
| 山崎: |
富山の人は、方言をはずかしいと考えるようで、公共の場所で会話したがらないんですよね。 |
| 市民: |
一人ひとりが宣伝マンという意識が必要です。県内のデパートに行っても、富山の名産品コーナーが隅っこにあって、正面には東京のものばかり。富山県人は売薬精神を忘れず、地元の特産品をもっとPRするべきです。 |
| 柳井: |
PRと言えば、富山ガラスはどうでしょうか。 |
| 野田: |
体験できる場をつくることがPRにつながると思います。自分でデザインし、製作したグラスでワインを飲む、こんな特殊な体験は観光につながると思います。 |
| 柳井: |
観光において、富山の魅力の発信はどのようにしたら良いと思いますか。 |
| 和氣: |
私の勤務するこの国際会議場には、世界各国から様々な分野の最先端の情報を持った人が集まります。そんな方々に対しての体験できる施設があると、富山の良い印象を与えることができると同時に経済効果もあると思います。
富山には、1日ではわからない良さがあるので、2、3日滞在していただけるような施設があればいいのではないですか。 |
| 姜: |
私は、富山の水を海外で売ったら良いと思います。韓国では富山のことがほとんど知られていません。もっとPRして、世界に売り込んだらどうでしょうか。そして立山は、もっと海外から人を呼べると思います。私たちから見ると、3000メートル級の山というのはとても美しく、魅力的なんですよ。 |
| 柳井: |
美意識というものは、世界各地で異なりますよね。美意識から考えて、富山にはどんな町並みが合うのでしょうか。 |
| 野田: |
町並みはとても整頓されていていますが、私はもっと猥雑さが必要だと思います。きれいに整備してしまう再開発は本当に必要なのでしょうか。今あるものを有効に活かすことも大切だと思います。猥雑さの中から生まれることがたくさんあります。 |
| 姜: |
市場を週1回とか開いたらどうでしょうか。私の生徒を釜山から連れて来た時、市場は無いのかと聞かれました。観光客は地元の人との交流がしたいんです。市場は活気があって刺激があって、地域の文化がよくわかるんですよ。 |
| 柳井: |
街づくりというのは建物をつくることではなく、そんなソフトづくりなんですね。 |
| 山崎: |
要は雰囲気づくりですよね。いかに盛り上げるか、です。そこに行って買わないとなんだか損をした気分になるといったような…。 |
| 野田: |
ソフトづくりには、効率や効果を急いではいけませんよね。人と人のつながりをつくることから始まっていくのですから。 |
| 柳井: |
目先にとらわれない街づくり。地域の夢と物語が綴られていく。それに私たちがどこまで参加できるかが問題ですね。
ある方に教えていただいたんですが、「旅の人」という言葉は「外から知識を運んで来てくれる人」という意味だそうです。 |
| 市民: |
自分なりにこのフォーラムの課題「価値資源」を考えてみたのですが、いわゆるその「旅の人」が価値資源だと思います。富山のためにがんばってくれている人と話しをしてみたら、実は県外出身者だったということがよくあります。いまここにいらっしゃる先生方がまさに「価値資源」ですよね。 |
| 柳井: |
私は、「そこに住むからにはその地域に恩返しをしろ」と言われてきました。よそ者の私たちですがこの富山を大切に思う気持ちは、富山の人と同じなのです。本日は皆様どうもありがとうございました。 |